■2016年7月12日、HKT夏のホールツアー福岡公演(二日目)

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開演までに着けばいいや、とかつてない意識の低さでのそのそとサンパレスへ向かった私だが、それでも18時くらいには着いたと記憶している。建物の前にたむろしているヲタ達の間を縫って真っ直ぐ入口へ向かうと、拡声器を持った係員がそんなヲタ達へ向かって一言。
「ただいまグッズ売り場にメンバーが立っております」
周囲はにわかにざわつき、腰を上げて入口へ向かおうとするヲタ達よりも一歩先んじて中に入った私は、この後無欲の勝利というものを立て続けに体験することとなった。

もちろんグッズ売り場の周りをヲタが取り巻いているのだが、メンバーが誰であろうとちーちゃんがそこに居ないことだけは間違いがない。
「ふーん、誰だろうね、いるのは」
依然としてその程度の関心しかない私がそこに近付くと、目の前で女の子の三人連れがひょいとどいて、最前かつメンバーに0ズレという神位置が明け渡されたのだ。図らずも私がそこに陣取ることになった。メンバーは若ちゃんめるだった。
私がそこに居たのは10秒だったろうか、それとも20秒か。ともかく他にも見たい人がいるだろうからと早めにその場を譲り、さあ自分の席に座ろうかと階段へ向かおうとしたその時である。

両手を広げた警備員と係員によって作られた人間の柵によって止められた。
「申し訳ありません、少しの間そのままでお待ち下さい」
なんだよ、俺は階段で上の階へ行きたいだけなのに、めんどくせえな。
そんなことを思っていたら、それは若ちゃんとめるがグッズ売り場から退場するためのものだったのだ。またまた図らずも、その「仮想の通路」の最前に陣取ることになってしまった。そして二人が目の前の至近距離を歩いて行った。

若ちゃん小顔でかわええな~
背が高いから余計に小顔が引き立つ。でも下半身は意外と逞しいっていう(^_^;
うん、これこそ野球選手向きの体型だ。遺伝の力恐るべし、などと馬鹿な事を考えていたが、よく考えたらこの至近距離二連発って若ちゃんかめる推しだったら開演前にお腹一杯になるくらいの神展開だな…
ちーちゃんがいなくなった日に無欲の勝利とか。いや違う、ちーちゃんがいないから無欲だったのか(苦笑)

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さて既報のとおりこの日の席は3階の15列目…気持ちいいくらいの天空席である。
「最高のショーだと思わんかね」
「見ろ、人がゴミのようだ!」
などと言う気力ももはやこの日はなく、力なく開演を待つ私に、それでもいつも通りの時間にオーバーチュアは鳴り響いた。

爆音の中で私が思ったのは「ちーちゃんは今頃何をしているのだろうか」ということだった。
留学の準備でもしているのか、それとも机に向かって勉強しているのだろうか。
ところが、開演して間もなくそれが明かされることになるとは思わなかった。ちーちゃんは二階上手袖席の最前、関係者席の中で一番の神席(笑)にいた。

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ビジョンに抜かれたちーちゃんは、おでこを出して髪を後ろで簡単に一つに結んだだけの、所謂ひっつめ髪をしていて、顔はすっぴんなのか、それともそれに近い薄いメイクなのか、ともかくそんな気配に見えた。
同じ場所で、たった一日しか経っていないのに、その出で立ちはステージに立つアイドルとはかけ離れたものだった。そんなちーちゃんの姿を見て、アイドル穴井千尋は本当に昨日でステージを去ってしまったのだと、前夜はいまひとつ湧かなかった実感がこの時になって強烈に湧き上がってきて、そしてそれはやはり悲しさ、寂しさを伴うものであって、言いようのない喪失感に襲われた。
そして思ってしまったのだ。やはり今日来るべきではなかった、と。
だが、これはまだ序の口だった。この後私は本格的に打ちのめされることになってしまった。



さて、ちーちゃんが観に来ていることを知って、こんなことも思った。
「観に来られるくらいなら、今日も出ればいいのに」
卒コンとツアー初日が兼ねられたことに依然として納得がいっていなかった私は、この二日目はちーちゃんが留学の準備で忙しくてどうしても出られないからだと、そう思い込んでいたのだ。
だがこれは完全なる誤解だった。程なくして四期生が初めてファンの前にその姿を見せたのだ。

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そうか、そうだったのか。
時期的にも、地元福岡からの開始という点でも、四期生はこの夏ツアーの頭でお披露目したかったのだろう。だが、先ずちーちゃんの卒業を見送って、それから四期生や8th選抜といった「未来のこと」を発表する。その順番を守り、ちゃんと分けてくれたのだ。
これはちーちゃんにとっても、我々ちーふぁむにとっても、むしろ感謝すべき配慮ではないか。それをちーちゃんの卒コンとツアー初日を兼ねやがって、と憤っていたのだからまったく恥ずかしい限りである。

これだって冷静に考えれば分かること、簡単に予想できた筈のことだ。だがそんなことも分からなくなるくらいに盲目になっていた。それだけちーちゃんの卒業で頭が一杯になってしまっていたのだ。でも、もう今となってはそれだけが全てだから…

さあ、そんな四期生達はいきなりステージに立った。会いたかっただけでなく立て続けに君好きを披露したのにも驚いたが、私にもっとも衝撃を与えたのはガラスのI LOVE YOUだった。
四期生三人を従えてセンターに立っていたのははな

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この、はなと四期生がステージで歌い踊る姿は私の心に突き刺さった。
これはまさに未来の象徴、これからのHKT48の姿そのものだった。
ちーちゃんがいたHKTが、ちーちゃんがキャプテンとして引っ張ってきたHKTが、皆でちーちゃんとの別れを惜しみ、ちーちゃんを温かく送り出したあの時が、まだたったの一日しか経っていないのにそれがもう「昔の事」にされてしまったみたいで、もうちーちゃんのことなんか皆忘れてしまったんじゃないかと思えてきて、その場に居るのが辛くなってしまった。本当に帰りたいと思ってしまった。
実際にはそんなことは誰も思っていないし、勝手で悲観的な思い込みだし、ひねくれた見方だろう。

でも、一つだけ間違いのないことがある。この時、このグループの時間の進む速さをまざまざと見せ付けられたということだ。
今回も、いつもそうだが、遠征で乗る新幹線のぞみ号は博多まで1,200kmもの距離を僅か五時間で走ってくれる。車内では本を読んだり居眠りをしたり、早く着かないかなあ、などと思うこともしばしばある。
だが通過駅のホームに立って新幹線を見送ると、400メートルもの長大編成が一瞬で走り去ってしまうその速さに驚かされる。一度でも列車を降りたら、その凄まじい速さに追い付くことは不可能。目で捉えることすら難しくなる。

昨日まで自分が立っていたステージを二階席から見下ろしていたちーちゃんは、きっと時速300キロで通過する新幹線をホームから眺めている気持ちだったのではないだろうか。そしてそれは私も同じだった。

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ステージの上のメンバー達は、前の日と何も変わらずキラキラと輝いていた。そこにいたのは紛れもなく素晴らしいアイドルグループであり、私が大好きなHKT48に他ならなかった。
でも、何かが違う。
この日は天空の干され席だったけれど、天空だろうが最前列だろうが、一たび幕が開けばいつだって私の心はメンバー達の輝きと熱気が渦巻くステージの上に共にあった。少なくともこれまではそうだった。
でも、この日は違った。ステージが遠くに見える。どんどん遠のいていく。違和感が物凄い。

私はますますそこに居るのが辛くなってきた。でも、ちーちゃんがこのステージをしっかり観ているのならば自分もしっかり見届けよう。そう思った。そして私一人を取り残すようにしてコンサートは進んでいった…



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予想通りの展開だったが、客席から是非にと請われてアンコールをちーちゃんが発動した(笑)
ち「アンコール、○○○できますかー?!!」
ヲタ「うおおおおおお!!」
ち「HKT!」
ヲタ「フォーティーエイッ!」



ちーちゃんが二階席の上手、自分が三階席上手の後方にいたので、遮られてもっともちーちゃんの声が聞こえにくい位置だった…
でもちーちゃんが「HKT!」と叫ぶ肉声を最後に聞けたからよかった。
ちーちゃんの声は最初の一回だけですぐに聞こえなくなってしまったが、ちーちゃんがHKTコールを続けていると信じて、私はフォーティーエイトコールを最後まで打ち続けた。
でも、叫びながら思ったのだ。ちーちゃんの声をこうして聞けたのは本当に良い事だったのだろうか。そもそも昨日の今日で客席にちーちゃんがいるとは思っていなかったのだ。これは亡霊化を助長するだけではないのか…?

終演してすぐに、二階の袖席へ行ってみた。だがそこには既にちーちゃんの姿はなかった。当たり前のことで、混乱を避けるために少し早めに退席するのは当然のことだろう。
俺は一体何をやっているんだろうと、堪らなく虚しくなった。
終演する少し前にそこへ行けばちーちゃんの姿が見られたかも知れないが、流石にそれは虚しいからやめた。だがここまでくればどちらも変わりない、同じことだった。
自分が座っていたでもない二階上手の席の一つに腰を下ろし、退場の列がひと段落するのを呆然と待っていた。やがて周囲には誰もいなくなり、早く出てくれと係員に促された。だが、前日の終演後よりもさらに立ち上がる力が私には残っていなかった。

廊下に出て、一階ロビーを見下ろすと、まだ大勢の人でそこは賑わっていた。けれど、前日の終演後には長蛇の列が出来ていたちーちゃんの卒業ブースに人はまばらだった。
見渡せば、前の日にあんなに大勢いた穴井千尋推しグッズを身に着けている人は、ただの一人も見当たらなかった。





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■コメント

■ [せんだい人]

なかなかそこまで誰かを推せる、って事も少ないですよね。
自分も同年齢ですのでここまで夢中になれる事がもうあるかどうか、わかりません。
ただ、どうやったって、切り替えられる訳ないですよね。
感傷に浸っていたら追い抜かれる、走り続けるしかない。
肉食獣が跋扈する中で強かに勝ち続けたカピバラさんみたいな印象です、ちーちゃんは。
もちろん、印象だけです(笑)
何もない田畑を眺めるのは辛いですから、もう少ししてから収穫のいっぱい詰まった蔵を眺めて懐かしむのは…それはそれで切ないですね。

■Re: タイトルなし [とけすん]

せんだい人さん>

いちいち仰るとおりです。こんな歳になって胸を痛める程悲しんだり、涙を流す程感動したり出来るなど無上の幸せと言えるでしょうね。ちーちゃんの印象についての例えもまさしく言い得て妙です。
蔵を眺めて楽しむのは確かに切ないですね。こんな歳と言ったことと矛盾するようですが、四十代はまだ若いので!(笑)まだまだ新しい未来の何かを見ていきたいものです。

■Re:2016年7月12日、HKT夏のホールツアー福岡公演(二日目) [ちーはる推しのトラキチ]

とけすん様、御無沙汰致しております。

二日間のホールツアーを実際に目の当たりにしたことで、感情が激しく突き動かされた様子が文章から伝わってきました。いつも冷静沈着なイメージが(少なくとも私の中には)あるとけすんさんがそのような心理状態になるということは、いかにちーちゃんを真剣に推していたかの表れと言えるのでしょうね。

今週の月曜日、再販で一枚だけ手に入れたサイン会に出かけました。時間はたった10秒ですから、こちらはエンジン全開で感謝の気持ちを伝えました。しかし、いきなり言われても戸惑いますよね。ちーちゃんも終始ポカンとした感じでした(笑)それでも「幸せになってね」という私の言葉には、「勿論!」としっかりした表情で答えてくれました。

こうして最後の握手が終わりました。思えば362日前、ちーちゃんと初めて会ったのも同じインテックス大阪での握手会でした。まさか一年も経たずにお別れすることになるとは夢にも思っていませんでしたが、様々な場所でちーちゃんと出会えた、充実した一年を過ごさせて貰ったなあと改めて思います。

泣いてしまうかな?とも思っていたのですが、レーンを出た後はしっかり感謝の気持ちを伝えてお別れできたことの充実感で一杯になっていました。DDの私はまだまだHKTから離れられそうにはありません(笑)今までと変わらず、のんびり、ゆったりと見届けていきたいなと思っております。

■ [ebiちゃん]

う~む、やりきれない喪失感というのでしょうか・・・。

自分も遥か昔の若い頃、リアル世界でそんな気持ちになった経験を思い出しました。
こちらの思い入れが強ければ強いほど、それを無くした時の悲しみもまた大きいですよね。

暫くは、敢えて過去の思い出を整理しながら、少しづつリハビリしてゆくのが良いのではないでしょうか?

■Re: Re:2016年7月12日、HKT夏のホールツアー福岡公演(二日目) [とけすん]

ちーはる推しのトラキチさん>

冷静沈着などとんでもありません。疎い分野には手を出そうとしない、何に対しても冷めているというだけです。
ポカンとしているのはまあいつものことですから(笑)ある意味最後まで自然体でいるということではないでしょうか。そしてそれが彼女の最大の魅力であるとも言えますね。いずれにせよ最後の握手を充実感をもって終えられたのは何よりです。今の私はとてもそういう状態にあるとは言えないので、有終の美を飾りたい気持ちが大きいです。

■Re: タイトルなし [とけすん]

ebiちゃんさん>

現実の世界で経験するあらゆる喪失感とはまた少し違ったものですから、そういう意味では初めての体験であると言えます。それだけに未だに処理できずに、戸惑っているところです。
ヲタ活としてのリハビリという意味ならば、それをする必要があるのかを先ず検証しなければなりません(笑)
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プロフィール

とけすん

Author:とけすん
埼玉県在住、四十代独身男です。ヲタ歴は五年半(ヘビロテ新規)。推しメンは穴井千尋。アイドル以外の趣味は野球観戦、旅行、居酒屋巡り。
HKT推しとしては典型的な百貨店新規で、初めて劇場に入ったのは博多レジェンド公演。2013年12月、元推しの横山由依生誕祭を機に推し卒を決意し、以後AKBからも離れて博多単推しに。遠征大好き現場ヲタです。

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